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山陽小野田市立山口東京理科大学
山陽小野田市立山口東京理科大学は総合教育と専門教育を通じて未来を担う科学技術者の育成を目指します。
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無題ドキュメント

今、学生の皆さんへ勧めたい本President room

投稿日:2018/06/06


book.png 大学図書館から、学長の推薦する図書を挙げてくださいと言われました。読んでいる本でその人物がわかってしまうこともありますので、ためらいましたが、今、手元にあるものから思い切って選んだら15冊にもなってしまいました。図書に並べて頂きましたが、簡単な書評も必要かなと、このたび作成いたしましたので、御参考にここにも掲げさせて頂きます。book_list.png

①.ものごとを効率的に進めたい。こんな思いでずーっと生きてきて、手に入れた本です。今はパソコンやスマホが普及して昔のような紙と鉛筆での作業はしませんが、ものごとを効率的に行う術は変わりません。私の行動の原点が知的トレーニングの技術です。

②.何かわからないことがあると開いてみる、大学教科書レベルの本を各分野1冊ずつ保有していると良い。門外漢の私にとって生物学の知識の整理に役立ち、時々パラパラ見ても楽しいのが、動物に携わる職業についている息子からもらったエッセンシャル キャンベル生物学です。

③.葉室麟さんの亡くなる直前の作品天翔ける。明治維新150年で世の中は今、西郷さんとか幕末の偉人たちを表舞台に出していますが、私は、この本で、幕末の本当の立役者、松平春嶽をしっかり描き切ってくださった葉室さんに感謝いたします。

④.私のような、口うるさい小生意気な工学者にとって料理の四面体は、料理という高尚な対象を理解するのに論理的な視座を持つことができる頼りになる一冊です。但し、包丁も握ったこともないのに奥さんの料理に口出しするのは禁じております。

⑤. 小説を読んでいるのに、音楽の調べが聞こえてくる。著者の筆力の成せる技ですね。おみそれしましたと、脱帽したのが蜜蜂と遠雷でした。

⑥.山口に赴任して以来、地元の故古川薫さんの著作をたくさん読みました。一番印象が強いのは、多くの歴史上の人物伝ではなく、大オペラ歌手を描いた漂泊者のアリアです。最初に読んだとき、藤原義江の生い立ちとか放蕩の人生は、私にはなぜか、松本清張の「砂の器」の主人公に重なっていました。人生を考えるのに良い本でしょう。

⑦. ⑤は音楽でしたが、さらに、料理を味わっている気にさせた本がこれ。料理通異聞です。目で文字を追っているのに他の五官が刺激されるとは、文学って素晴らしい世界。

⑧.「量子論」や「現代物理」の講義を担当してきましたが、学生たちがこんなふうに理解して、ノートをとっていてくれたらと思いました。12歳の少年が書いた量子力学の教科書は、12歳の少年が量子力学をどう理解していったかの軌跡が描かれています。学ぶものに年齢は無いということですね。

⑨. ロボットの脅威:人の仕事がなくなる日。この種の啓蒙書はたくさん読んできました。おそらく、人類の未来は、ここに描かれている以上の状況になるでしょう。人工知能が人間の知能を超えるということまで視野に入れなければならないのは厳しいことですが、変化を正視する目を鍛えなければ我々の未来はありません。未来を俯瞰する一助としてください。

⑩. "組織も戦略も自分に従う"と言って、個の確立こそが今の日本には大事だと、教えてくださった米倉誠一郎さんがあらわした名著がイノベーターたちの日本史です。特に中ほどの章の笠井順八翁の伝記は本当によく調べられた秀作です。順八翁ゆかりの地元恒例の住吉祭を何度か経験した後に読んで、鮮烈な印象を受けました。ぜひ、御関係の皆様、ご覧ください。

⑪.数学の大統一に挑むは、ひとりの若い数学者の自伝を通して数学の諸分野や物理学の統一プログラム化を説明展開していく内容ですが、数学や物理の基礎知識を前提とします。かつ、気軽に読まないと深みにはまってしまう恐れもある本です。私は集中して読み通しましたが、この種の本は、多分、学生時代にしか読まないし、読めないでしょう。そういう本を大いに読んでください。

⑫.半世紀前、学園紛争のなごりで騒然とする大学の教養キャンパスで物理学を学びましたが、原子・原子核・原子力:わたしが講義で教えたかったことの著者は当時、名をはせた学生運動の活動家です。時を経て、そんな人が書いた本が、ああ、こんな風に現代物理学を学生に教えれば分かりやすいなと感じさせてくれました。ざっと現代物理学の基礎知識を学びたい人には良い本です。

⑬.学生達に「医用電子工学」のさわりを教えながら、人体など生体現象を電気の等価回路で考察できることを楽しんでいましたが、この本メカ屋のための脳科学入門はまさに工学部の学生に脳科学を身近にとらえられるように工夫して作られた優れた本といえます。

⑭.物理数学の直感的方法は知る人ぞ知る名著です。存在は知っておりましたが、新書版になったので改めて購入し、楽しく読みました。私の「電気数学」の講義で頓挫した学生に読むように勧めたら、複素関数・複素積分が良くわかるようになりましたとお礼を言われました。下手な講義より名著1冊か、反省しきり。壁にぶつかった人の特効薬?

⑮.建築や乗物の本は幼少より好きです。有名なデザイナーが、どうやって、JR九州ご自慢の「ななつ星」の客室デザインを行ったか、街づくりの話まで書いてあるのが「鉄道デザインの心」です。たまにはこういう本も手にしないと、心豊かになれませんね。とても「ななつ星」そのものには乗れませんから。