山陽小野田市立山口東京理科大学 応用化学科

研究室紹介Laboratory

研究分野 研究室 教員 居室 研究室HP
有機合成化学 北條研究室 北條 信 教授
橋本 徹 助教
5号館3階521
物性化学 井口研究室 井口 眞 教授
濱本 信次 助教
5号館3階520 http://www.rs.tusy.ac.jp/inokuchi-lab/
生物無機化学 太田研究室 太田 雄大 教授
竹山 知志 助教
5号館3階522  
超分子化学 白石研究室 白石 幸英 教授
後藤 達也 助教
5号館3階515 http://www.rs.tusy.ac.jp/shiraishi/
生体分子分光学 橋本研究室 橋本 慎二 教授 5号館3階516
機能材料化学 星研究室 星 肇 教授 5号館2階506
触媒材料化学 池上研究室 池上 啓太 准教授 5号館3階513 https://www.rs.socu.ac.jp/ikeue
生化学 岩館研究室 岩館 寛大 准教授 5号館3階523
有機元素化学 鈴木研究室 鈴木 克規 准教授 5号館3階517 http://suzu-lab.rs.socu.ac.jp/
生物物理学 佐伯研究室 佐伯 政俊 講師 5号館3階514 http://www.rs.socu.ac.jp/saiki-lab/index.html
ナノ材料化学 Wang研究室 Ke-Hsuan Wang 講師 5号館3階516

有機合成化学 [北條研究室]

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  • 北條 信 教授
    [工学博士]

(1)新しい還元系による還元的炭素−炭素結合形成

活性な低原子価亜鉛であるRieke亜鉛(Zn*)と芳香族のラジカルアニオン(LDBBなど)を組み合わせた反応系が、特徴的な還元反応を起こすことを見つけた。この反応系の特長を活かした炭素−炭素結合形成反応の開発を行っている。

(2)新しい二元触媒による官能基変換

適切な配位子を選ぶと、二元触媒系がアルコールからの脱水素反応を起こし、カルボニル化合物が生じると同時に、発生した水素がニトロ基を還元してアミンが生成することを見つけた。この水素移動型の官能基変換反応の開発を行っている。

(3)新しい還元剤による反応剤の発生と反応

遷移金属のアート型反応剤が一電子還元剤または二電子還元剤として振る舞うことを見つけた。この反応剤の特性を利用した官能基を有するアリル金属反応剤、ビニル金属反応剤、プロパルギル金属反応剤、エノラートなどの反応剤の発生と反応に関する研究を行っている。

(4)触媒による有機金属反応剤の付加と発生する反応剤の反応

アセチレン結合への有機金属反応剤の付加反応を鉄が触媒することを見つけた。この反応では、炭素−炭素結合形成と同時に、新しい有機金属反応剤が生じるため、さらなる炭素骨格の伸長が可能である。各種不飽和結合への有機金属反応剤の付加反応と生じる反応剤の反応を開発している。

(5)新しい電子キャリアの設計・合成と官能基選択的有機合成反応への応用

芳香族ラジカルアニオンは一電子還元剤として良く知られているが、多様性に乏しく、限られた反応剤が用いられているのが現状である。さらに、これらは非常に高い還元能を有しており、選択的有機合成に利用できない。穏和な還元能を示す芳香族ラジカルアニオンのテーラーメードな発生とこれらを用いた選択的合成反応に関する研究を行っている。

物性化学[井口研究室]

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  • 井口 眞 教授
    [博士(理学)]

(1)分子集合体の物性化学:電気的・磁気的・光学的・熱的性質

分子結晶・分子集合体の物性を化学と物理の手段を使って研究している。分子結晶・分子集合体は主に有機化合物の分子によって構成されており、その特性には分子1個の性質を色濃く残しているが、分子間に働く力と集合状態を制御することで電気伝導性や強磁性、液晶、イオン液体などの興味ある性質を示すようになる。研究は、機能と集合様式を予測しながら分子をデザインし、その分子集合体-結晶・自己組織性膜・包接体・イオン液体・液晶など-の電気的、磁気的、光学的、熱的特性を調べ、その発現機構を解明する。さらに、得られた知見を基に、新たな機能をもつ物質を開発することが目標である。

(2)ずれ応力と光を用いた物質化学

ずれ応力(剪断応力, shear stress)を用いた物質化学の新たな手法の創成を目指している。光照射による可逆的な異性化に伴う色の変化を示すフォトクロミック分子のスピロピラン、ジアリールエテンなどに対するずれ応力の効果に興味をもっている。これまでにずれ応力を利用したスピロピランSPのメカノクロミズムやジアリールエテンDAEの可視光によるフォトクロミズムを見出している。これらの結果を踏まえて、SPやDEAを含む粘土鉱物やNafion膜の包接体、自己組織化膜、高分子、イオン液体を合成し、それらの光や応力に対する応答性から分子の状態を解明している。これらの成果を、応力と光を複合的に用いた機能性材料と化学結合の制御法に発展させることを目指している。

(3)外場応答性イオン液体

イオン液体は、難揮発性、難燃性、イオン伝導性などの分子性液体にはない性質を示すことから、近年注目されている物質群である。我々は独自の手法で、金属錯体やクロミック分子などの外場応答性分子を構成要素に含むイオン液体の開発に取り組んでいる。これらはイオン液体としての性質だけでなく、光や熱、磁場、小分子といった外部刺激に応答してユニークな電子物性(光物性・反応性・磁性)を発現する、全く新しい機能性液体である。これまでに、光によって可逆的に色と液体物性が変化する液体や、蒸気・ガスによって色変化を起こす液体、光と熱で高分子との相互変換が可能な液体などを見出している。

生物無機化学[太田研究室]

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  • 太田 雄大 教授
    [博士(工学)]

(1)酸素結合・情報伝達蛋白質の分子機構の解明

酸素と結合し分子内情報伝達を行うヘム鉄蛋白質について、大型放射光施設を利用した核共鳴非弾性散乱分光法による解析を行う。鉄原子近傍で起こるピコメートル(10-12 m)程度の極微小な分子構造変化を捉え、生体分子科学の重要課題の解決を図る。本研究にて発展させる先端的分光解析法は、各種金属酵素および触媒の構造解析への応用が可能で、構造と反応性の相関の解明に役立てられる。

(2)エネルギー変換に関わる金属酵素の化学モデルと触媒の創製

金属酵素が触媒する小分子活性化(酸素還元、水分解、C-H結合活性化など)の反応メカニズムについて理解を深めることは、持続可能なエネルギーの創製において鍵となる触媒設計に役立つ。酸素の4電子還元反応は燃料電池、水分解は人工光合成、C-H結合活性化は炭素資源の分子変換技術において本質的な化学反応である。金属酵素の触媒活性中心の分子構造に学び、合理的に分子設計した金属錯体を開発し、反応性と反応機構について解析する。本研究をとおして、貴金属を代替する卑金属触媒の創製を目標にする。

(3)生体活性酸素種の化学

生体内では部分還元した酸素(1-3電子還元した酸素(活性酸素種))が発生して拡散し、蛋白質、DNA、脂質などを酸化分解して機能発現を妨げることが知られている。このような酸化ストレスは、種々の疾患と関連していると考えられている。錯体化学の観点から、生体関連金属錯体と酸素の相互作用による活性酸素種の発生メカニズムと反応性について考察し、健康問題に応じる研究を行う。

超分子化学[白石研究室]

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  • 白石 幸英 教授
    [博士(工学)]

(1)超分子で保護安定化したナノコロイドの創製と機能

本研究室では、包接化合物や超分子などの保護剤を巧みにデザインし、数nmの粒径の揃った新規ナノコロイドの創製に関する研究を行っている。複数の金属の構造を制御することで、様々な複合ナノコロイドを調製し、その構造を解析し、それを基に、電気光学的性質(液晶表示素子)、生理学的性質(活性酸素除去剤)、触媒作用(有機反応触媒、エネルギー触媒)、など興味のある機能を持つナノコロイドの開発を行っている。

(2)カーボンナノチューブを利用した有機熱電変換の開発

エネルギーの有効利用が我が国の直面する重要な課題の1つになっている、特に低品位排熱からの電気エネルギーの獲得は、環境・エネルギー問題の解決にも有効である。この視点から、熱電発電、特に有機高分子材料を用いた有機熱電発電が注目されている。本研究は、高分子錯体/カーボンナノチューブ/バインダー高分子樹脂を組み合わせた全く新しい概念での三元ハイブリッド材料の熱電応用を目指す。

(3)ナノマテリアルの計算化学

クラスターサイズでの物性はバルク状態とは全く異なり、この次元でのシリコンの挙動を解明することが至急に求められている。Siナノクラスターはそれぞれのサイズについて多くの異性体が存在するため、大きなサイズのSiナノクラスターについて実験によって構造を決定することは困難であり、多くの理論的な研究が進められている。Hawaii大学のJohn D.Head 教授との共同研究で、低エネルギーSixクラスターの理論計算を行っている。

生体分子分光学[橋本研究室]

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  • 橋本 慎二 教授
    [医学博士]

(1)ヘムタンパク質の活性部位近傍構造解析

ヘムタンパク質はアミノ酸など比較的少数の構成要素から成り立っていますが,その機能は実に多彩です。アミノ酸の結合する順序によってタンパク質の立体構造が決まり,ヘムをとりまくタンパク質の構造がヘムの機能を決定しています。一方,振動分光法を用いると,溶液中のタンパク質,とくに活性部位近傍構造の詳細を決定できます。このようにして,種々のタンパク質・酵素について,分子分光学的手段を応用して,その構造を調べ機能との関連について研究をしています。

(2)ラマン差分光法によるタンパク質微細構造決定

ラマン分光法は赤外分光法と異なり,タンパク質の主たる溶媒である水の影響をほとんど受けません。ヘムタンパク質のような色がついたタンパク質では,色の原因となる発色団の振動スペクトルは得られますが,色のついていない無色のタンパク質ではタンパク部分のスペクトルが得られます。ただ,分子量が大きいために今までは構造の知見を得ることが困難でしたが,タンパク質に基質アナログなどを結合させて差ラマンスペクトルを測定することにより,タンパクの微細構造変化を検出できます。この測定法の開発に取り組んでいます。

(3)振動スペクトルシミュレーションを用いた構造スペクトル相関探索

タンパク質の構造についての情報を得るためには,タンパク質と振動スペクトルとの関係が分かっている必要があります。これを構造スペクトル相関といいます。これは言わばタンパク質のラマンスペクトルを読み解くための辞書とも言えます。この辞書を作成する一つの方法は,分子構造が分かっている分子のスペクトルを測定して,実験的に構造スペクトル相関を決めます。一方,実験的には難しい系に対しては非経験的分子軌道計算を用いた振動スペクトルシミュレーションが強力な手段となります。実験,理論両面から構造スペクトル相関について調べています。

機能材料化学[星研究室]

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  • 星 肇 教授
    [博士(工学)]

(1)光電変換材料の開発

ペロブスカイト化合物は光エネルギー変換材料として優れた特性を示すことが最近明らかになってきましたが、鉛を含むことが普及する上で問題となることが考えられます。そこで、鉛フリーペロブスカイト化合物で太陽電池の作製を目指しています。スズペロブスカイト化合物を調製し、課題となっている安定性の向上等について検討しています。
H. Hoshi, N. Shigeeda, T. Dai, Improved oxidation stability of tin iodide cubic perovskite treated by 5-ammonium valeric acid iodide, Materials Letters, 183, 391 (2016).

(2)炭素-ナノ粒子複合電極の開発

色素増感太陽電池は低コスト太陽電池として期待されていますが、高価な白金膜が使われています。ナノ粒子とカーボンを複合化した薄膜等を作製し、白金の使用量を抑え、低コスト化する方法を研究しています。さらに、白金の使用量を減らすことを目指し研究を行っています。
H. Hoshi, S. Tanaka, T. Miyoshi, Pt-graphene electrodes for dye-sensitized solar cells, Materials Science and Engineering B-Advanced Functional Solid-State Materials, 190, 47 (2014).
T. Adachi, H. Hoshi, Preparation and characterization of Pt/carbon counter electrodes for dye-sensitized solar cells, Materials Letters, 94, 15 (2013).

(3)液晶系フォトニック効果

液晶は特異な周期構造を自発的に形成するため、興味深い光学特性を示します。例えば、短波長レーザー光の発生方法として第2高調波発生を用いるものがあります。従来の方法では第2高調波は材料の厚さの2乗で増加するものでしたが、液晶が自発的に形成するらせん構造を用いると材料の厚さの2乗を超えて増加することが可能となります。第2高調波発生を効率的に高精度で計算する方法を検討し、これまでに液晶の厚さの7乗で第2高調波が増大可能なことを示しています。
H. Hoshi, Optical second harmonic generation in ferroelectric liquid crystals under oblique incidence, Liquid Crystals, 40, 906 (2013).

触媒材料化学[池上研究室]

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  • 池上 啓太 准教授
    [博士(工学)]

(1)水素製造に有効な可視光応答型水分解光触媒の開発

水素は次世代エネルギーとして注目されており、石油資源に依存しない製造方法の開発が求められています。本研究室では、植物の光合成を模倣した人工光合成型光触媒システムに着目し、太陽光照射下で水を分解して高効率な水素製造を可能にする光触媒の開発を行っています。具体的には、カーボンナノチューブを基盤とする有機系の水素発生光触媒とAg3PO4やBiVO4などの無機系の酸素発生光触媒を組み合わせた有機-無機複合型光触媒の構築と高性能化を岡山大学および山口大学との共同研究により実施しています。

(2)二酸化炭素の還元固定化を目指した多孔性ナノ光触媒の開発

地球温暖化対策として二酸化炭素の固定化技術が注目されています。二酸化炭素を常温付近で効率的に回収することのできる吸着材を開発し、吸着回収した二酸化炭素を単に貯蔵するだけでなく、ナノ粒子の光触媒作用により有用な炭化水素に還元して資源化するシステムの構築を目指しています。具体的には、K, Fe, Alなどの資源リスクの少ない元素からなる複合酸化物を、高分子系テンプレートを用いて多孔化して高表面積吸着材を開発しています。その多孔質吸着材上に各種手法を用いて合成したTi酸化物系光触媒ナノ粒子を固定化することにより吸着材-光触媒複合体を構築し、二酸化炭素の吸着-化学変換サイクルによる二酸化炭素固定化プロセスの実現を目指しています。

生化学[岩館研究室]

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  • 岩館 寛大 准教授
    [博士(理学)]

(1)組織性カリクレインによる神経幹細胞の増殖促進作用機構の解明

神経幹細胞はパーキンソン病や脳血管障害などで失われた機能を回復させる再生医療分野で注目されている細胞である。岩館研究室では、これまでカリクレインが神経幹細胞を顕著に増殖させることを見出している。神経幹細胞の増殖促進機構には ①細胞増殖、②アポトーシスの抑制、③細胞老化の抑制、④神経幹細胞の分化抑制などが考えられる。本研究ではカリクレインがこれらのどの作用機構で、神経幹細胞の増殖を促進しているか解明しようとしている。 この作用機構の解明により神経幹細胞の増殖の制御ができれば、上述した脳疾患の治療に大きく貢献できるだけでなく、他の再生医療分野への応用も期待できる。

(2)Tabebuia avellanedae樹皮に含まれる抗腫瘍性物質の検索

がん細胞では様々なシグナル伝達経路の異常により、細胞の異常な増殖、炎症反応の亢進やアポトーシスの抑制などが起こっている。これらの異常な状態を抑制できれば、がんの治療に大きく貢献できると考えられる。南米アマゾン川流域に自生するTabebuia avellanedaeはノウゼンカズラ科タベブイア属の植物である。この木は現地では「神の恵みの木」と呼ばれ、この植物の内部樹皮を煎じたお茶は古くから健康の源として飲まれてきた。この植物の内部樹皮には抗腫瘍作用、鎮痛作用、抗炎症作用、利尿作用、抗潰瘍作用、抗リウマチ作用、殺菌作用、抗真菌作用など様々な作用をもつ物質が含まれている。我々はこれらの作用のうち抗腫瘍作用に着目し、Tabebuia avellanedaeに含まれる抗腫瘍物質の精製と腫瘍抑制機構の解明を行っている。

有機元素化学[鈴木研究室]

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  • 鈴木 克規 講師
    [博士 (理学)]

(1)新しい有機元素化合物の合成および機能探索

今日までに様々な構造や物性を持つ有機化合物群が合成されています。有機化合物に典型元素を組み込むことで得られる有機元素化合物が当研究室の研究ターゲットです。特に当研究室では13族から15族の元素を有機化合物に導入した新物質の合成に挑戦します。この新しい構造や性質を持つ有機元素化合物を生み出し、その電子物性や機能を解明することで、次世代の材料や触媒となる新規化合物を探索します。

(2)元素由来の物性を活用した有機元素材料の創製

有機物の構造や電子物性をチューニングすることで様々な機能を発現させることができます。当研究室では有機分子に対して多様な元素を導入するアプローチにより、新しい機能性材料の探索を行います。特に有機エレクトロニクス材料として注目されている拡張共役系に着目し、これの電子物性を典型元素によりチューニングした有機元素材料について研究します。典型元素のユニークな特徴が発揮される分子をデザインし、従来にはない性質をもつ材料の創製を目指しています。

(3)元素と遷移金属の協働作用に基づく分子変換反応の開拓

金属錯体触媒は様々な分子変換反応に用いられています。この錯体触媒の配位子の構造や電子状態を変化させることで触媒活性や反応の選択性を変えることができます。この配位子に典型元素を導入することで構造や電子状態を変化させ、新しい触媒を開発する研究を行います。また典型元素によっては、それ自体が反応サイトとして働くものもあります。これを利用することで元素と金属の二つのサイトが反応に関与する分子変換反応の開発を目指します。

生物物理学[佐伯研究室]

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  • 佐伯 政俊 講師
    [博士(工学)]

(1)アミロイド病の予防基盤技術の開発に向けたタンパク質工学からのアプローチ

近年、アミロイド線維と呼ばれるタンパク質のフィブリル状集合体がアルツハイマー病やプリオン病などの疾病(アミロイド病)に関わっていることが多数報告されており、アミロイド線維の形成の分子論的メカニズムとその防止機構の解明が求められている。当研究室では、アミロイドの形成を防止するためのペプチドを設計し、そのメカニズムを検証している。

(2)新規ドラッグデリバリーシステムとしての機能性人工蛋白質の創製

ペプチドやタンパク質を主成分とするバイオ薬において、その構造と機能を維持しながら体内への吸収を高める機能を有する新規のドラッグデリバリーシステム(DDS)が求められている。当研究室では、分子設計により、凝集しやすいペプチドを正しいフォールディングへ誘導するような機能性ペプチドの合成研究を行っている。

ナノ材料化学[Wang研究室]

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  • 王可瑄
    Ke-Hsuan Wang
    [博士(工学)]

(1)ナノ・マイクロ構造制御による微細電子材料の開発

物質のサイズがナノメートル程度になると、物理的・化学的性質が変化し、バルク材料と異なる特性を示すようになる。当研究室は、貴金属材料を精密に構造制御することで、微細電子材料を開発している。たとえば、金の化学還元において、ハロゲンイオンの添加により、金ナノ粒子の形状を自在に操ることができる。これらの材料開発にあたり、その場分光測定を行い、材料のメカニズムを解明することで、より高効率な材料開発を目指している。

(2)三次元的に機能する高効率な水分解触媒の開発

持続可能社会を構築するため、再生可能エネルギーを利用した水電解による水素製造法が注目されている。この方法では、水電解反応を効率的に進める水素生成と酸素生成の水分解触媒が必要である。当研究室では、水分解反応中に活性種を発生する遷移金属電極が効率的な水分解触媒として機能することを見出し、活性構造を維持したお椀状や中空状の触媒を調製するなど、触媒形状の三次元的な制御による水分解反応の高効率化を目指している。

(3)低消費電力かつ高性能なエレクトロクロミック材料の創製

日差しをさえぎる調光ガラス窓や車の防眩ミラー材料の利用に向け、電気化学反応によって色が変わる「エレクトロミズム」の研究が進められている。当研究室は、数nmの遷移金属クラスターの層間に有機分子を添加することで、層同士の距離を離すことによりエレクトロクロミズム特性を向上させることに成功している。そこで、有機分子の添加によって分子・イオンが拡散する空間を確保し、高い着色効率や色変化の応答性を示す調光フィルムの開発を進めている。

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