ご挨拶

オープンアクセス加速化事業では、研究成果をオープンアクセス化し、研究データを共有することを目的としており、学術界における知識の迅速な普及と社会への還元を促進します。この取組により、研究者同士の知識の交流が加速し、研究活動が一層深化するとともに、新たな知識の創造が生まれることを期待しています。オープンアクセスは、学術研究の透明性とアクセス性を高め、さらに学問の進展を支える重要な取り組みであり、私たちの学術活動の未来にとって、極めて意義深いものです。
本学は、幸いにも中国・四国・九州地域の公立大学の中で唯一、本事業に採択されました。また、国際シンポジウムを開催する数少ない大学の一つとして、この重要な任務を担う責任の重さを改めて感じております。この事業が進むことで、研究の公開と共有のあり方を一層進化させるとともに、学内外の研究者との協力関係を一層強化できることを心から楽しみにしています。
本事業を通じて、本学独自の研究情報プラットフォームを構築する予定です。具体的には、国立情報学研究所が整備した「JAIRO Cloud(ジャイロ・クラウド)」や「GakuNin RDM」の管理基盤を活用し、研究データと成果の管理・公開の体制を整えていきます。また、「知のコンバージェンス」を目指し、学際的な共同研究を推進するとともに、より多くの研究者や社会とつながる環境を提供することで、学術と社会の相互作用を深めていきます。
本学は、「理学の普及をもって国運発展の基礎とする」という建学の精神のもと、地域社会に根差した教育・研究を行っており、地域の発展に寄与することを使命としております。研究成果や論文を迅速かつ広範に公開することで、地域社会との知的交流を深め、さらにその成果を世界へと広げることが、地方創生のみならず、我が国全体の学術・社会の発展に貢献するものと確信しています。
山陽小野田市立山口東京理科大学
研究担当副学長 オープンアクセス加速化チーム長
永田 寅臣
取組概要

本学の令和6(2024)年度の取組においては、文部科学省による全国的な研究データ基盤(NII RDC)の高度化政策と軌を一にして、武田健学長を全体統括、永田寅臣副学長(研究担当)をオープンアクセス加速化チーム長として、図書館事務室、研究推進部、総務部、教育推進部の事務局と教員の連携によるオープンアクセス加速化を推進いたしました。具体的には、①グリーンオープンアクセス(OA)の公開基盤となる「JAIRO Cloud」(機関リポジトリ)の開設(令和7(2025)年2月10日)、②研究データの管理基盤となる標準ストレージ(GakuNin RDM)の利用開始(令和6年(2024)12月23日)及び機関(拡張)ストレージとしてのDropboxの利用開始(令和7年(2025)1月23日)、③学術論文のオープンアクセスを加速するための論文公開掲載料(APC)の経費支援、シュプリンガーネイチャー社の転換契約、エルゼビア社のドローダウンポットAPC前払い契約、④オーストラリア・モートンベイ市、山陽小野田市のご協力と内外の産学官の有識者のご参加による国際シンポジウムの開催、⑤豪州クィーンズランド工科大学、サンシャインコースト大学、米国ハーバード大学、MIT、英国オックスフォード大学、認知症研究所、シュプリンガーネイチャー社等への訪問調査、⑥文部科学省科研費(JSPS)・戦略的創造研究推進事業(JST)・創発的研究支援事業(JST)の研究成果の即時オープンアクセスへの対応、⑦エルゼビア社Pureの開設(令和7年(2025)2月28日)による研究活動の可視化・分析、⑧産学連携・共同研究におけるオープン・クローズ・イノベーション戦略の検討、⑨Jxiv(JSTプレプリントサーバー)の活用と課題抽出等を行いました。
また、我が国有数の外部有識者評価委員の方々のご参画を得て、外部評価委員会も2回、開催させていただきました。
令和7(2025)年度においても、本学のOAポリシー及び研究データ管理・公開ポリシーに沿ってオープンアクセス加速化の推進を図ってまいります。また、市立大学としてのオープンサイエンス・シチズンサイエンスの振興と地方創生のベストプラクティスの共有、小規模大学の利点である意思決定・システム構築の迅速性や応用工学分野における数理情報科学・計算科学の基盤の強みを生かしたパフォーマンス分析に基づく研究力・発信力の強化を目指して地域社会、国際社会に貢献してまいります。
山陽小野田市立山口東京理科大学 学長補佐・特任教授
塩満 典子
組織・体制

取組状況の概要
- 大学理念に基づく研究成果のOAポリシー及び研究データ管理・公開ポリシーの推進
- NII JAIRO Cloudを活用した新たな機関リポジトリへの構築、学術論文等の収載
- 特定の競争的研究費(科研費、戦略的創造研究推進事業、創発的研究支援事業)及び他の公的資金で創出された学術論文等のAPC支払い、転換契約、セルフアーカイビング等による即時OAの確保
- 民間資金で創出された論文・研究データ等のオープン・クローズ・イノベーション戦略に基づく公開又は限定公開によるOAの推進
- Jxiv等の活用によるプレプリントの試行的OAの実施と効果分析
- 即時OAのKPIの設定と5年後に向けた向上策(成果の可視化・情報発信の強化)の推進