投稿日:2024/03/11 レポート
令和6年能登半島地震の被害に対し、石川県薬剤師会、日本薬剤師会からの派遣要請を受け、山口県薬剤師会の支援班の一員として、本学薬学部の 山本 晃之 講師と 相良 英憲 准教授を被災地に派遣し支援活動を行いました。それぞれの活動概要は次のとおりです。
本学では、被災地域における早期の復旧・復興をお祈り申し上げるとともに、今回の災害派遣の経験を生かし、地域医療に貢献できるよう多職種連携教育を推し進めてまいります。
■ 派遣期間 令和6年1月17日〜21日
■ 活動場所 石川県珠洲市
■ 活動内容
● 災害処方箋の調剤
● 環境アセスメントを含めた避難所の巡回支援
● 新たな避難所開設支援及び衛生環境維持のアドバイス
災害処方箋の調剤は、珠洲市健康増進センター内に設置された臨時調剤所とモバイルファーマシー(災害時対応医薬品供給車両)にて、限られた備蓄医薬品の中で医師の処方意図にできるだけ添えるよう、薬学的知識をもとに代替等も行いながら実施しました。避難所の巡回支援では、健康相談や医薬品・衛生材料の供給と合わせて、二酸化炭素測定器を活用して環境アセスメントを実施しました。新たな避難所開設支援では、避難者の居住スペース、支援物資の保管庫、本部の位置など、動線も含めたプライバシーに配慮したレイアウトと合わせて、環境衛生の維持向上に関するアドバイスを実施しました。
■ 山本講師のコメント
個人的には、今回で4箇所目の災害支援となりましたが、活動中も状況は刻々と変化しますので、その時その場所で必要な事項の優先度を随時見極めながら、多職種と連携のもと、薬剤師としてできることを臨機応変に行うことが大事であると改めて痛感しました。
珠洲市の医療体制は回復しつつありますが、本当の復興には相当な時間がかかると推察します。一日でも早い復興を心より祈念致します。
前列右から2人目:山本講師
■ 派遣期間 令和6年3月1日〜5日
■ 活動場所 石川県輪島市門前町
■ 活動内容
● 災害処方箋の発行及び調剤業務に備えた現地医療班との連携
● 環境アセスメントを含めた避難所の巡回支援
● 被災地の薬局へ医療体制を引継ぎ次ぐための医療班及び避難所への情報伝達と撤収作業
災害サイクルは、発災から2か月が経過した時期でした。現地の医療支援体制は、JMATを中心に活動が遂行され、被災地の医療体制は段階的に地域の医療に移行していくフェーズにありました。
災害薬事の業務においては、災害処方箋を応需できる被災地の薬局もわずかではありますが見込める状況でした。このフェーズで我々の班は、災害処方箋の調剤に対応できる薬局機能を残しながら、輪島市門前町での薬剤師の支援を撤収する最終段階の業務を実施しました。被災地の薬局へ医療体制を引継ぎ次ぐために、各避難所及び薬局への最終巡回と情報共有の業務を遂行しました。
■ 相良准教授のコメント
活動中は被災地の状況は刻々と変化し、これまでの医療班からの業務の引継ぎ、正確かつ詳細な情報伝達の重要さを改めて痛感しました。これに加えて、災害救護の医療班、多職種の災害派遣医療チーム、被災地の行政との連携が被災地の支援活動に極めて効果的に働くことを体感しました。
輪島市門前町の医療体制は回復しつつありますが、災害の爪痕はまだまだ残った状況です。本当の復興には年単位の時間がかかると推察します。我々が出来る支援を継続しながら、一日でも早い復興を心より祈念致します。
後列左から2人目:相良准教授