投稿日:2025/12/19 研究・プレスリリース
工学部応用化学科 佐伯 政俊 講師と美容室向けヘアケア・化粧品メーカーの株式会社ミルボンは、毛髪の主要構成成分ケラチンと毛髪補修成分CMADK (S-カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンタンパク質)*1の相互作用メカニズムを分子レベルで解明しました。この成果は 「2025年日本化学会中国四国支部大会 香川大会」で発表され、「優秀ポスター賞」を受賞しました。 本大会は、化学分野における最新研究成果の発表と学術交流を目的とした場であり、「優秀ポスター賞」は特に優れたポスター発表に授与されます。今年度は208件のポスター発表の中から、16件が選出されました。
これまで、CMADKが毛髪に高い定着力を持ち、補修効果を発揮することは、強伸度測定や毛髪密度測定などの現象的な評価によって確認されていました。しかし、ケラチンのどの部位にどのように結合しているかという分子レベルでの作用メカニズムは、十分に解明されていませんでした。 本研究では、ケラチンとCMADKの相互作用を分子レベルで解析することを目的に、CDスペクトル測定*2とHPLC定量分析*3を用いて、そのメカニズムを明らかにしました。
| 発表学会 | 日本化学会中国四国支部大会 香川大会 |
|---|---|
| 発表タイトル | ⼆次構造評価とHPLC定量分析による⽑髪ケラチンと補修成分の相互作⽤メカニズムの解明 |
| 発表者 | 宮田 結衣実¹・木村 洋則² ・伊藤 廉²・佐伯 政俊¹¹山陽小野田市立山口東京理科大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 佐伯研究室
²株式会社ミルボン |
《用語解説》
*1 CMADK(S-カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンタンパク質) カルボキシメチルジスルフィドケラチンとも呼ばれ、ジスルフィド結合(毛髪中に存在する、2つの硫黄原子が共有結合したもの)を持つ可溶性ケラチンタンパク質のこと。
*2 CD(Circular Dichroism)スペクトル測定 タンパク質などの⽣体分⼦の二次構造に関する情報を得る⼿法。
*3 HPLC(High Performance Liquid Chromatography)定量分析 混合物中の成分を分離し、特定成分の量を高精度で測定する分析手法。
リンク先:株式会社ミルボン様 プレスリリース