投稿日:2025/12/25 研究・プレスリリース
工学部応用化学科 佐伯 政俊 講師と美容室向けヘアケア・化粧品メーカーの株式会社ミルボンは、毛髪の主要構成成分であるケラチンが形成する「αヘリックス二量体*1」の構造安定性の仕組みを詳細に解明しました。 この成果は 「第3回日本化粧品技術者会学術大会」で発表され、ポスター部門において「最優秀学生発表賞」を受賞しました。本大会は日本化粧品技術者会(SCCJ)が主催する国内最大級の化粧品技術の学術イベントであり、化粧品科学の発展に寄与する最新研究成果を議論する場です。「最優秀学生発表賞」は、学生による発表の中で特に高く評価された研究に授与されます。
毛髪の80%以上はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されており、パーマやカラーなどの化学処理によってケラチンの「αへリックス二量体」の構造が変化すると、毛髪強度が低下することが知られています。健やかな毛髪を維持するためには、この構造の安定性が重要ですが、形成や安定性を担う仕組みはこれまで詳細に解明されていませんでした。 本研究では、ケラチンタンパク質が形成する「αヘリックス二量体」構造の安定性の仕組みを、計算科学によるシミュレーション解析、局所領域のペプチド合成*2、およびCDスペクトル測定*3 による構造評価を組み合わせ、分子レベルで詳細に解明しました。
| 発表学会 | 第3回日本化粧品技術者会学術大会 |
|---|---|
| 発表タイトル | 計算科学と局所ペプチド調製に基づく毛髪ケラチンタンパク質 TypeIとTypeⅡが形成するαヘリックス二量体の形成機構の解明 |
| 発表者 | 河内 美香子¹・藤田 真帆¹・立川 心愛¹・細井 菜海²・伊藤 廉²・佐伯 政俊¹¹山陽小野田市立山口東京理科大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 佐伯研究室
²株式会社ミルボン |
《用語解説》
*1 αヘリックス二量体 ケラチンタンパク質が毛髪内部で形成するらせん構造のペアで、毛髪の強度維持に重要な役割を果たす。
*2 局所領域のペプチド合成 ケラチンタンパク質の特定領域を模した短いペプチドを人工的に合成する手法。
*3 CD(Circular Dichroism)スペクトル測定 タンパク質などの生体分子の二次構造に関する情報を得る手法。
リンク先:株式会社ミルボン様 プレスリリース