投稿日:2024/02/29 研究・プレスリリース
本学工学部 竹山 知志 助教と茨城大学理学部 島崎 優一 准教授は、銅-フェノレート錯体が織りなす特異的な酸化状態と、それらに誘起される物性及び反応性との相関について、国内外の研究者の四半世紀にわたる研究成果を集約した総説記事を発表しました。
銅-フェノレート錯体は生体内において、ガラクトース6位の1級アルコールを酸化するガラクトースオキシダーゼや1級アミンをアルデヒドへと変換するアミンオキシダーゼなどの金属含有酵素の補因子として機能することが知られており、その反応のメカニズム解明や酵素触媒サイクルの人工的模倣などに多くの研究者が取り組んでいます。本総説では、銅-フェノレート錯体の物性や反応性の正確な理解には、「分子構造から予想する形式的な酸化状態(形式酸化数)」を活用した議論では不十分であり、錯体の電子状態をより正確に表現した「実験により決定された酸化状態(実験的酸化数)」に基づき議論することの重要性について解説しています。本総説の内容は、生体内機構の更なる理解や金属酵素に着想を得た分子触媒の開発を目指す上で「新たな見通し(Perspective)」を提供します。
本総説記事はイギリス化学会(RSC)の学術雑誌「Dalton Transactions」のBack Coverに選ばれ、記事の内容を抽象的に表現したCG(Computer Graphics)(図1)とともに、2024年2月1日にオンライン版が掲載されました。
図1.
世界中の研究者を魅了してきた銅-フェノレート錯体を宝物にみたてた Back Cover.
タイトル :
Diversity of oxidation state in copper complexes with phenolate ligands
著者 :
Tomoyuki Takeyama, Yuichi Shimazaki
掲載誌 :
Dalton Transactions
掲載日 :
2024年2月1日
論文URL :
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/dt/d3dt04230h
Back Cover URL :
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/dt/d4dt90037e