投稿日:2026/08/21 研究・プレスリリース
山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部の細井 徹博士らとフランスINSERMのRalf Jockers博士およびJulie Dam博士らの国際共同研究チームは、一部の食品添加物が肥満のリスクを増加させる可能性があることを見出しました (図)。
【背景】【研究成果の内容】
本検討を進めるにあたり、抗肥満ホルモンとして知られているレプチンに着目しました。レプチンは生体内において摂食抑制・エネルギー代謝亢進作用により抗肥満効果を示します。しかし、肥満患者においては、レプチンが作用しない、すなわちレプチン抵抗性が引き起こされており、肥満の原因として問題視されています。そこで本実験では、アルデヒド体を有する食品添加物がレプチン抵抗性を引き起こす可能性を検証しました。この目的のため、レプチン受容体を恒常的に発現させた細胞に、レプチンシグナルの下流で惹起されるSTAT3プロモーターを含むルシフェラーゼ遺伝子を導入した神経細胞を構築しました。そして、本細胞に食品添加物を処置し、レプチンによるSTAT3転写活性が抑制される化合物を探索しました。本研究では、食品添加物として使われている39種類のアルデヒド体含有食品添加物について、レプチンシグナル抑制効果を検証しました。その結果、一部の食品添加物にレプチンシグナル抑制効果があることがわかりました(図)。そこで、これらの化合物のより詳細な作用を調べたところ、これらの化合物はレプチン受容体活性には影響せず、核内におけるSTAT3転写活性に影響を及ぼしている可能性が示されました。
【今後の展開】
本研究の結果、アルデヒド体を含む一部の食品添加物が、レプチン抵抗性(肥満)発症の原因になる可能性が示されました。一方で、本研究は細胞レベルでの検討結果であり、実際にヒトの生体レベルでも肥満のリスクとなるかについてはさらなる検証が必要と考えられます。
食品添加物として食品に含まれる化学物質は日常、多くの人々が毎日摂取するものであり、従ってこれらの因子を解明することは重要な課題となると考えられます。肥満は慢性疾患とも言われており、知らず知らずのうちにこれらの化学物質を長期にわたって摂取することで肥満の発症の潜在的リスクファクターとなっている可能性もあります。本研究の結果、一部の食品添加物に肥満のリスクがあることが明らかになったことより、今後は食品添加物を正しく使い分けることで、健康で美味しい食品の開発につながることが期待されます。
論文タイトル:
Food additives with aldehyde skeleton exhibited leptin resistance in cells.
著 者:
Shibuya Y, Yoshida H, Tsuge K, Hamasaki Y, Kuriya K, Nakagawa T, Sugiyama A, Miyamoto K, Shimamoto A, Jockers R, Dam J, Hosoi T.
掲載誌:
Frontiers in Nutrition 2026, 13:1892425. doi: 10.3389/fnut.2026.1892425.
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費(国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 課題番号22KK0109)および公益財団法人 浦上食品・食文化振興財団の支援を受けて実施されました。
【お問い合わせ先】 山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部 教授 細井 徹 Tel:0836-39-9149 E-mail:hosoi[at] rs.socu.ac.jp