薬学科は、薬学全般にわたる幅広い知識と技能を備え、
病院や薬局などの医療現場等で活躍することのできる高度な問題解決能力とヒューマニティを合わせもった薬剤師の養成と、
創薬や健康な社会創りを目指した薬科学の発展を担う創薬研究者・技術者、健康社会を実現する薬学士を育成します。
薬学科では、薬学教育モデル・コアカリキュラムを基に、生涯にわたって薬剤師として求められる基本的な資質を体系的に身につけられるよう、基礎から先端薬学を網羅した95の専門科目による独自のカリキュラムを編成しています。皆さんが本学での学びを通して豊かな人間性と高い倫理観、探求心・研究心を持った薬剤師・薬学人となり、医療・臨床薬学、創薬化学および社会健康薬学の領域で皆さんが思い抱くキャリアデザインを実現できるよう経験豊かな教員が全面的にバックアップします。
薬学科 学科主任和田 光弘WADA, Mitsuhiro
薬の専門家として、医療・臨床の場で、問題・課題を科学的に研究・実践し、医療の向上に努めます。
主に有機化学系、物理化学系、生命科学系の研究室が治療薬開発のために基礎及び応用研究を展開します。
人の健康をサポート薬学的な知識・学問を総動員し、病を未然に防ぎ、生活習慣病など病気にならないようにします。
薬学科では、10の学習・教育目標をかかげて
教育プログラムを編成しています。
豊かな人間性と生命の尊厳に関する深い認識を持ち、法律、制度、規範等を理解し、遵守するという行動の基盤を培います。
医療人として、患者や生活者の立場を相手の置かれた状況と共に捉え、利他的な態度でその権利や尊厳を尊重する姿勢を身につけます。
その場限りの学びから脱し、生涯にわたって学ぶ姿勢を培います。また、優れた医療人となることを志す者として、自分自身又は仲間と学び合うことを通して、共に学ぶ姿勢を身につけます。
医療・福祉・公衆衛生における課題を薬学的視点から見出して科学的な解決に導くというリサーチマインドを育み、医療と薬学の発展に貢献しようとする姿勢を身につけます。
生涯にわたって十分な薬学的知識を身に付ける努力を続け、患者や生活者が抱える問題に適切な科学的判断、解決策を提供できる能力を身につけます。
日々進歩する高度先端技術に関心を持ち、情報・科学技術に関する倫理、法律、制度、規範等を遵守し、情報・科学技術とその専門知識を医療に活用する能力を身につけます。
薬剤師として責任ある薬物治療を主体的に計画、実施、評価し、的確な医薬品の供給、状況に応じた調剤、服薬指導、患者中心の処方提案等ができる能力を身につけます。
共感的な状況で円滑な情報の共有、交換を行い、相手の意思決定を支援する良好なコミュニケーション能力を身につけます。
多職種連携を実践するため、医療に関わる人々の役割を理解し、良好な関係性を築くための具体的な実践方法を習得します。
全国的、世界的な広い視野で社会を捉えるとともに、地域に根差した質の高い医療・福祉・公衆衛生を実践することの重要性を理解します。
薬学科の特徴的な学びの一つが、1年次の前期に行われる早期体験学習です。病院や薬局、行政に携わる薬剤師の方からお話を伺うことができ、入学直後で漠然としていた薬剤師の役割について理解が深まりました。実習終了後もスモールグループディスカッションで情報を共有できる他、体験的な学びでモチベーションが上がり、早い段階で将来のイメージをより具体的に持つことができます。またヒューマンコミュニケーションの講義では、様々な場面における薬剤師の患者応対をグループごとに考え、デモンストレーションします。どこが悪い対応だったのか実践的に学ぶことができ、将来病院薬剤師として勤務した際に役立つと考えます。
岩戸 夏奈 さん薬学科2年 鹿児島県立鶴丸高等学校出身
勉強についていけるか不安がありましたが、チューター制度や学習サポート教室があるので安心して学ぶことができています。特にチューター制度は勉強面も生活面も支援してもらえるので心強い存在です。1年次の学術と地域文化の講義では県内の薬剤師をはじめ、サファリパークの獣医、陶芸家から様々なお話を伺いました。山口県の地域性の理解はもちろん、多角的な視点を持つことができました。また薬剤学では患者様の症例から投与設計を考えるため、症状や採血で得た数値を基にアセスメントできる力が身につきます。入学当初は薬局の薬剤師に興味がありましたが、学びを深める中で今は病院薬剤師になることが目標です。
船引 祐希 さん薬学科3年 北海道帯広柏葉高等学校出身
有機化合物は医薬品開発や液晶材料などさまざまな物に利用されています。この授業では、単純な有機化合物から化合物の官能基変換などの複雑な化合物の合成について理解し、有用な化合物の効率的な化学合成について学びます。
物理化学及び分析科学分野に関する基礎知識を元に、代表的な医薬品・化合物の物理化学的な性質・挙動、分析・管理の実習を通して、薬学において必要とされる技能とその活用法の流れを習得していく実習です。
再生医療に用いられる医薬としての細胞について学び、適正に利用するための倫理、法律、技術、並びに品質管理等の知識を修得するとともに、CAR-T細胞、間葉系幹細胞、iPS細胞などを用いた再生医療の最先端について学びます。
本実習は、座学のみではイメージしにくい衛生試験法等に収載されている遺伝毒性試験法などの試験法をより深く理解し、人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献するための基本的知識を修得することを目的とした実習です。
薬物治療学は、代表的な疾患における治療と薬物療法に関する基本的事項を理解し、疾患の症例について、患者情報および医薬品情報などの情報に基づいて薬物治療の最適化について学びます。
本実習は病院実務実習・薬局実務実習に先立って、大学内で薬剤師業務の基本的な業務である調剤をはじめ、服薬指導、患者対応、医薬品の適正管理、薬物療法の実践などの薬剤師職務に必要な基本を修得することを目的とした実習です。
医療技術の高度化、医薬分業の進展を背景に薬剤師に求められるスキルが変化しており、
臨床現場で医療チームの一員として多職種と連携し薬物治療のプロフェッショナルとして
リーダーシップを発揮することが求められています。
薬学科では薬剤師業務に関する長期の実務実習を必修科目として修得します。
臨床現場を模した環境で実務実習に必要な薬剤師業務の基本を修得
5年次の実務実習を控え学内の施設を活用し調剤をはじめ、服薬指導、医薬品の適正管理、薬物療法の実践的知識、患者とのコミュニケーション技術など臨床現場での実践を前提にした薬学と薬剤師業務の基本を修得します。
臨床現場での実務実習に進む能力を確認する評価試験
薬局・病院での実務実習に進む基礎的な知識や実践力を評価するための試験です。
薬剤師国家試験の受験資格を得るためには、病院や薬局での実習が義務づけられています。この実務薬学実習は5年次生の必修科目で、病院実習(11週間)と薬局実習(11週間)の合計22週間行われ、おおよそ6か月の実習で基礎的な臨床能力を修得します。
薬局で基本的な調剤・服薬指導を修得した後に、病院で多職種が連携するなかでの薬剤師実務を学びます。近年薬剤師国家試験では臨床を意識した問題解決を問う傾向があり、実務実習で得られる知識や考える力を重視しているのです。
薬局の役割を理解し薬剤師としての基礎能力を身につける
【実習項目(実務実習モデル・コアカリキュラム)】
1 臨床における心構え、安全管理
2 医薬品の調製
3 医薬品管理
4 地域における保健衛生活動・災害時医療
臨床現場での実務経験から問題解決能力を養う
【実習項目(実務実習モデル・コアカリキュラム)】
1 臨床における心構え、安全管理
2 内服薬・外用薬・注射薬調剤
3 薬物治療支援業務実践
4 病棟業務実践
約半年をかけて行う病院・薬局実習では、大学の座学だけでは学ぶことができない発見が多くありました。薬局実習では地域医療と地域住民の健康を支える薬局の意義、病院実習では大学病院でチーム医療の一員としての薬剤師の役割などを学びました。実務実習前に学内で受講する臨床事前実習では、処方をもとに行う調剤・製剤・注射剤混合・監査、患者様や他職種とのコミュニケーションなど基礎知識・実技を身につけることができ、実務実習では臨機応変に対応することができました。実務実習は将来薬剤師として何をしたいのか、どのような薬剤師になりたいのか自分自身と向き合う良い機会になったので、これからはじまる就職活動で活かしていきたいと思います。
竹本 綾乃 さん薬学科6年 山口県立小野田高等学校出身
山陽小野田市では現在スマイルエイジング事業の一貫として、薬局が患者様の健康をサポートする機能を持つようになることを推進しています。実習先の薬局は健康サポート薬局に認定され、運動イベントなどにも参加し、地域住民の方々と薬局外でも関わりを持つことができました。また薬局実習中に山陽小野田市で働く薬局薬剤師や本学の薬学生に対して、「これからの薬剤師」をテーマにWeb講習を企画し、講師を務める経験を得ました。病院実習では薬剤師のみならず他職種の目線でも患者様を考える大切さに気づきました。これからの薬剤師は薬学の知識だけでなく+αが必要だと実感したので、コミュニケーション能力を磨き、外へ発信していける薬剤師をめざします。
石田 大生 さん薬学科6年 兵庫県立姫路西高等学校出身
薬学科生は、4~6年次の3年間研究室に所属し、指導教員と共に卒業研究に取り組みます。
研究の内容は指導教員ごとに幅広く基礎研究から臨床研究まで多岐にわたります。
3年間の研究活動を通じて培った知識・技能を活用し、6年次には卒業研究発表および卒業論文作成を行います。
これらの活動を通して薬学士あるいは薬剤師としてのコミュニケーション能力や情報発信能力を磨きます。
医薬品のみならず生体微量物質、食品成分、環境物質を健康影響物質と位置付け、これらを対象とした最新の分析器機および試料前処理技術を駆使した高感度分析法の開発を行っています。さらに開発した分析法を用いた薬学的応用研究を通して、ヒトの健康にかかわる新たな科学的エビデンスを社会に発信していきます。
分析科学分野(和田研究室)和田 光弘 教授
再生医療学分野の嶋本研究室では、再生医療で注目され細胞治療に使われる間葉系幹細胞の老化抑制培養法の開発に取り組んでいます。またiPS細胞を利用した早老症の発症機構解明や、ゼブラフィッシュを活用した組織再生の研究を進めています。さらにリプログラミングを応用したがん幹細胞研究や,ゲノム編集技術を駆使した疾患iPS細胞の樹立研究を行っています。
再生医療学分野(嶋本研究室)嶋本 顕 教授
薬物動態研究では、TDMデータ・臨床検査値を用いた解析を行ったり、代謝酵素や薬物トランスポーターの活性が変化する機序を調べたりすることによって、より安全で有効な薬物投与方法を探究しています。また、生物時計研究では、現在、がん・骨代謝と体内時計異常との関連性について、分子メカニズムの検討を行っています。
薬剤学・製剤学分野(牛島研究室)牛島 健太郎 教授
●薬剤師国家試験受験資格
●危険物取扱者(甲種)試験受験資格
●環境衛生指導員
●環境衛生監視員
●食品衛生管理者
●食品衛生監視員
●食品衛生責任者
●毒物劇物取扱責任者
●高度管理医療機器等営業所管理者
●再生医療等製品営業所管理者
●特定管理医療機器営業所管理者
●調剤業務
●保険薬剤師の業務
●薬局の管理者
●医療用医薬品の販売業務
●第一類医薬品の販売業務
●医薬品卸売業者の営業所管理者
●医薬品製造販売業における総括製造販売責任者
●医薬品製造管理者
●医薬部外品の製造所における責任技術者
●配置薬の配置販売業務
●配置薬販売業の区域管理者(第一類医薬品)
●学校薬剤師
●第二類及び第三類医薬品の販売業務
●一般用医薬品店舗販売業の店舗管理者
●配置薬販売業の区域管理者(第二類及び第三類医薬品)
●医薬部外品および化粧品の製造販売業における総括製造販売責任者
●化粧品の製造所における責任技術者
●医療機器の製造所における責任技術者•薬事監視員
●麻薬管理者
●麻薬取締官
●向精神薬取扱責任者
●放射線取扱主任者(医薬品等の製造に関わる業務に限る)
●計量士(環境計量士一濃度関係)(認定講習が必要)
●作業環境測定士(業務に際し講習と登録が必要)
●第一種衛生管理者免許
●労働衛生コンサルタント受験資格
●介護支援専門員(実務経験が必要)
●弁理士国家試験科目免除(一部)
●飼料製造管理者(業務に際し講習が必要)
薬学部卒業後は、3つの特色【くすりを使う】【くすりを創る】【やまいを予防する】の
役を担ったフィールドが多岐にわたり、活躍する場も広がります。
また、関わりある機関や組織等と連携し、協力し合いながら学の教育と研究を進めることで社会において、
リーダー・キーパーソンとしてさらなる飛躍もめざすことができます。
薬剤師として医療の現場で調剤、服薬指導、医薬品の管理などを行います。さらにチーム医療の一員として、病棟業務や地域医療への貢献を行います。
●病院薬剤師
●保険薬局薬剤師
●医薬品卸販売業管理者
●製薬企業医薬品管理者
薬を創り、世に送り出すために薬の作用や安全性を確かめ、医療現場で使用できるよう様々な試験を行います。研究、開発、製造、学術、品質管理など幅広い分野で活躍します。
●創薬研究者
●生産技術者
●医薬品製造管理者
●医薬品開発者
●医薬品情報担当者
大学の教員として、また研究機関の研究者として未来の薬剤師の育成や薬学に関する基礎・応用研究を行います。
●大学教員
●研究機関研究員
公務員として、厚生行政、医薬・薬事行政、食品衛生、保健衛生などの仕事を通して国民の健康福祉に貢献します。
●厚生労働省職員
●農林水産省職員
●特許庁職員
●麻薬取締官
●薬事行政職員
●医薬品医療機器総合機構職員
薬学の知識や技術を活かし、化学産業、食品産業、化粧品産業など幅広い分野の企業で、研究・開発・生産・管理・営業などの担当として活躍します。
●化学企業
●食品企業
●化粧品企業
●バイオ関連企業
●診断薬メーカー